連載「市の堀用水を巡る」ぬるっとスタートです。
皆さんは、高根沢町に流れる「市の堀用水」という用水路をご存知でしょうか?
高根沢を潤す用水
高根沢町を流れる用水は、東部の喜連川丘陵沿いを流れる市の堀用水と高根沢町の中央を北から南へ貫流する五行川、そして、西部の宝積寺台地の東側を流れる草川用水の分流である新堀用水と台地の西側を通る釜ケ渕用水があり、これら四つの用水の系統がみられる。こうした用水により高根沢町は古くから稲作地帯として開けて来た。
市の堀用水は氏家町押上で鬼怒川から取水し、上野原台地を通過し狭間田・伏久・文挟・飯室を通り、桑窪に達する用水路で、明暦二年(一六五六)に完成した。その後、大正五年(一九一六)には芳賀郡まで延長された。高根沢町では、東部の文挟・飯室・上柏崎・桑窪を灌漑し、さらに余った水は井沼川・冷子川・五行川に入り、町の東部全域を潤している。
(デジタルアーカイブシステム ADEAC(アデアック)「高根沢町図書館/高根沢町史」
民俗編 第一章 生産生業 第一節 水利 一 用水と水利より引用)
「市の堀用水」は高根沢町東部を流れる農業用水です。
高根沢町に生まれた方なら、
この用水を通すのに尽力した「山崎半蔵」という人物とともに、
小学校の頃、社会の授業で習ったことがあるはず・・。
江戸時代の頃、水不足だったこの地に、鬼怒川から水を引き、
水不足解消と新田開発のために開削された用水です。
たくさんの困難を乗り越え、10年の歳月をかけて完成した用水路。
山崎半蔵の墓(高根沢町飯室)
現在は、塩谷町佐貫の鬼怒川から水を取り入れ、
塩谷町〜さくら市〜高根沢町〜芳賀町〜市貝町〜真岡市
まで整備されている、実はけっこう長い用水路です。
実は、2014年に一度巡ってみたことがあり、
姉妹ブログ「ひばらさんの栃木探訪」で紹介しようと思っていたのですが、
膨大な探訪記のため、まとめるのにずるずると時間が経ってしまい・・
現在に至ります。^^;
市町をまたぎはしますが、高根沢町にゆかりも多いこの用水路。
今回の連載は改めて「たかマガ」で、
上流から下流まで「市の堀用水」を巡った探訪記を書いてみたいと思います。
そうそう、この用水路を巡ってみたいと思ったきっかけですが、
それは以前、高根沢町図書館のリサイクル市で見つけたこの一冊。
「市の堀〜市の堀用水沿革史」
この本に巡り会ってしまったこと!
身近にある用水にもいろいろなドラマがあったのかと、
これを読んで、よりいっそう市の堀用水に興味を持ったのです。
(つづく)
・「高根沢町図書館/高根沢町史」第6巻 民俗編(平成15年発行・高根沢町史編さん民俗部会編)
・「市の堀〜市の堀用水沿革史」(昭和53年発行・石山憲三編)