
栃木県のほぼ中央に位置する高根沢町平田ののどかな風景の中にある「アライファーム」。
この地から生まれたオリジナルブランド牛が 「平田ロッソ牛」 です。
アライファームのオリジナルブランド「平田ロッソ牛」
「平田ロッソ牛」の “ロッソ(Rosso)” とは、イタリア語で「赤」。
その名の通り、あざやかな赤色が特徴の赤身肉です。
脂肪が少なめで味の濃い赤身肉は、一般の肉牛にはない風味や旨みがあります。
ネーミングには、地域の人々が込めた 情熱 も重ねられています。
経産牛の肉 ― シェフの手によって引き出された新たな価値
さて、この「平田ロッソ牛」。
実は、「平田ロッソ牛」は、高根沢町のアライファームさんが酪農で育てているホルスタイン種(乳牛)の経産牛のお肉なのです。
「経産牛(けいさんぎゅう)」とは、出産を経験したメス牛のこと。牛は一生の間に3~4回くらいの妊娠・出産を繰り返し、牛乳の量がだんだん搾れなくなると、最後は肉になって一生を終えます。
元来、経産牛は食肉としては「肉がかたい」「脂が黄色い」などと敬遠され、その多くはミンチ(挽肉)やペットフード、加工品として販売されたり、流通せずに廃棄したりするものだそうです。
肉質のランクとしては下位に位置づけされるこの経産牛ですが、平田ロッソ牛の新しい可能性をいち早く見出したのは、地元レストラン 「イタリア食堂 ヴェッキオ・トラム」 の照井シェフでした。
「地元の食材をもっとおいしく」という想いから、地元産の食材を積極的使っている照井シェフ。その想いが、平田ロッソ牛との出会いを生みました。

脂肪の少ない赤身肉は、工夫次第で豊かな表情を見せる食材。
照井シェフはその力を最大限に引き出し、地元の食材と掛け合わせた料理として提供しています。
シンプルに焼くだけでも旨みが際立つ赤身は、地域のお客様に「また食べたい」と感じさせる一皿に変わりました。
実際に味わってみると、脂肪が少なく赤身の味が濃いことがわかります。
噛むほどに広がる旨みは、若い肉牛では出せない奥深い味わいです。
ちなみにこの「平田ロッソ牛」というネーミング、照井シェフに命名していただいたんだそうです。
そんな「平田ロッソ牛」を育てているアライファームの荒井さんに、もっと詳しくお話を聞いてみました。
「平田ロッソ牛」おいしさの秘密
「平田ロッソ牛」がおいしく食べられる秘密は、アライファームが取り組んでいる循環型酪農です。
アライファームさんで育てている牛が食べているのは、なんと高根沢のお米!


厳密には、牛が好んで食べるのは米よりイネ(飼料イネ)の部分が多いそうですが、アライファームさんではこの2つを軸に、飼料を組み合わせて牛に与えているそうです。
まさに、“たん たん たんぼの高根沢” でおなじみの米どころ・高根沢ならではの飼料で育った牛なんですね!
トウモロコシのような湿地に弱く背の高い農産物を育てるより、田園の多い高根沢の土地柄、稲を育てるのが効率的なんだとか。
牛の命を最後まで活かす「循環型の農業」

さらにアライファームさんでは、稲など飼料になる農作物を自宅で育てているそうで、牛の排泄物から堆肥を作って、畑や地域の田んぼに入れることで、牛の餌となる牧草、稲などを育てて、そして、そこで育てられた農作物が牛の餌となり・・という、自然の資源を無駄にせず、再利用し循環させていく「循環型酪農」にも取り組んでいるそうです。
まさに地産地消で、サステナブル!
生産者さんのお話を直接聞かせていただくと、ますます地元の味として、皆さんも味わってみたくなりますね。
「赤に込めた、地元の情熱」を支える仲間たち
昨年から、さらに新たな挑戦としてハンバーグ、ソーセージ、そしてジェラートなど、「平田ロッソ牛」の加工と商品化もスタートさせています。
平田ロッソ牛が生まれたのは、アライファームだけの力ではありません。
飼料をつくる人、加工を担う人、流通を支える人、そして食べてくださる皆さん。
多くの仲間たちのご縁と協力があってこそ、ブランドとしての命が吹き込まれています。
アライファームさんを支えている県内外の企業や人々を紹介させていただきます。
1. 平田ロッソ牛の飼料を支える方々
・勅使河原精麦所(足利市)
栃木県足利市にある「勅使河原精麦所」は、大正15年創業の老舗精麦会社。
平田ロッソ牛専用の飼料「平田ロッソ牛ミックス」を作っていただいています。

同所では、麦の精麦加工や配合飼料の製造を行いながら、近年は「エコフィード」と呼ばれる取り組みにも力を入れていて、本来であれば廃棄されてしまう食品副産物を再利用し、家畜の飼料として活用するもので、環境にやさしく、持続可能な畜産を支える仕組みとして注目されています。

県内外で人気の足利市のワイナリー 「ココ・ファームワイナリー」 のワインづくりで出るぶどうの搾りかすを回収し、栄養価の高い飼料として配合しています。
命を大切にしながら地域資源を循環させる「サステナブルな畜産」を象徴する取り組みでもありますね。
・全酪連の緒方さん
アライファームさんで使用している輸入飼料の供給を担当している方です。
安定した生産をサポートしていただいています。
・酪農組合の坂本さん
アライファームさんの牛たちが食べる飼料のメニュー設計を行っている方です。
1年中同じ飼料を食べているわけではなく、季節や気温、体調を管理し、牛にとって最適な栄養バランスを整えています。
2. 平田ロッソ牛の加工・商品を支える方々
・ABCミート(那須塩原市)
那須塩原市に拠点を構える「ABCミート」さんは、食肉のプロフェッショナルとして、品質管理と安全性を徹底しながら、地元ブランドを形にする地域に根ざした食肉加工会社です。
ABCミートさんには、平田ロッソ牛を使ったハンバーグを加工、管理していただいています。
平田ロッソ牛の旨みを最大限に活かすため、試作を重ねて完成させたのが「平田ロッソ牛100%ビーフハンバーグ」。
しっかりした赤身の食感を残しつつ、ジューシーさも楽しめるように仕上げられており、重さも150gもボリュームで、家庭の食卓でも「特別なごちそう」として味わえる存在になっています。
高根沢町の農産物直売所JAしおのや「たんたんプラザ光陽台」、さくら市櫻野の「農産物直売所さくら」などで販売中です。
・とん太ファミリー(益子町)
益子町で長年親しまれてきる「とん太ファミリー」さん。
ソーセージやハムなど加工肉の専門店。手づくり製法にこだわり、肉本来の旨みを大切にした商品を数多く生み出しています。

こちらで平田ロッソ牛を使ったオリジナルソーセージを加工していただいています。
珍しい牛肉を使用したソーセージで、肉々しい濃い味わいをしっかりと感じられる逸品。
噛むほどに広がる旨みと香ばしさが特徴で、ビールやワインとの相性も抜群です。
平田ロッソ牛のソーセージは、高根沢町の農産物直売所JAしおのや「たんたんプラザ光陽台」、宝積寺駅前の「村上酒店 高根沢店」などで取り扱っています。
・あいすくむり(新潟県)
「お肉だけでなく、ミルクの味そのものも楽しんでほしい!」という想いから、アライファームでは現在ジェラートも開発中です。
ジェラート開発でお世話になっているというのが、新潟県にある「あいすくむり」さん。
あいすくむりさんは、全国の牧場や農家と連携し、地域ごとの生乳をジェラート用に加工・製造している会社です。

ホルスタイン種の平田ロッソ牛の牛乳(生乳)が、あいすくむりさんの技術によって、牛乳の風味や鮮度を損なうことなく、高品質でおいしいジェラートへと姿を変えています。

3. 平田ロッソ牛を支える地元の店
・イタリア食堂 ヴェッキオ・トラム(高根沢町)
「地元の食材をもっとおいしく」。 その想いが平田ロッソ牛との出会いを生み、照井シェフの料理を通して新しい可能性が開かれました。
平田ロッソ牛を使用したボロネーゼや、新鮮なお野菜を活かしたビュッフェランチもおすすめです。ぜひお立ち寄りください。
・ヴェッキオ・カフェ・トラム(高根沢町)
JR宝積寺駅東口、隈研吾氏の建築物「ちょっ蔵広場」内に、ヴェッキオ・トラムさんの2号店となるイタリアンカフェバール「VECCHIO CAFFÉ TRAM(ヴェッキオ カフェトラム)」があります。
店内やテイクアウトで「平田ロッソ牛のパニーニ」が召し上がれます。
ぜひお立ち寄りください。
○VECCHIO CAFFÉ TRAM(ヴェッキオ カフェ トラム)
営業時間/月〜木 11:00〜17:00、
金・土曜 11:00〜18:00、日曜 11:00〜15:00 ※臨時休業あり
栃木県塩谷郡高根沢町宝積寺2416 ちょっ蔵広場内
(JR宝積寺駅東口すぐ)
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・村上酒店 高根沢店(高根沢町)
JR宝積寺駅東口、ヴェッキオ カフェトラムのお隣りにある酒屋さんです。
平田ロッソ牛を使ったオリジナルソーセージを取り扱っていただいております。
ビールやワインとの相性も抜群ですので、おつまみとしてご購入ください。
店内ではアルコール各種の販売のほか、角打ちもやっています。
宝積寺駅にいらっしゃった際は、ぜひ立ち寄ってみてください。
○村上酒店 高根沢店
営業時間/月曜〜土曜日 11:00〜20:00 角打ち(LO.19:00)
日曜日 10:00〜18:00 角打ち(LO.17:30)
栃木県塩谷郡高根沢町宝積寺2416 ちょっ蔵広場内
(JR宝積寺駅東口すぐ)
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・MONTECORVO ~モンテコルヴォ~(那須烏山市)
那須烏山市にある里山ピッツェリア。
平田ロッソ牛を使ったサルシッシャや煮込み料理などを提供していただいています。
お近くにおでかけの際は、ぜひお立ち寄りください!
○MONTECORVO ~モンテコルヴォ~
営業時間/11:00~21:00 (LO 20:30)
定休日/月曜日
栃木県那須烏山市中央2-3-24
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・道の駅うつのみや ろまんちっく村(宇都宮市)
宇都宮市にある「道の駅うつのみや ろまんちっく村」内にあるレストラン「村の食堂・畑の台所 麦の楽園」にて、平田ロッソ牛のハンバーグやジェラートを10月下旬から提供予定です。
宇都宮へおでかけの際は、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
○村の食堂・畑の台所 麦の楽園
営業時間/11:00~21:00 (LO 20:30)
定休日/月曜日
栃木県宇都宮市新里町丙254 道の駅うつのみや ろまんちっく村内
公式サイト
平田ロッソ牛 — 食卓へ、そして未来へ
こうして多くの人々の想いが重なり合い、平田ロッソ牛は日々の食卓へと届きます。
牛肉を使用した料理から、ハンバーグやソーセージ、ジェラートのような加工商品まで。
「牛肉」という枠を越え、暮らしのさまざまな場面で楽しめる存在へと広がっています。

「平田ロッソ牛」が、赤に込められた高根沢の情熱とともにー
これからも地域の誇りとして歩み続けていくことを願っています。
2020
○アライファーム
住所/栃木県塩谷郡高根沢町平田
Instagram
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