先日、高根沢町内の小学校で、宇都宮市出身のフレンチシェフ・音羽和紀さんらとともに、児童と一緒に給食を食べる機会がありました。
町では学識経験者や生産者などと、食育のあり方を考える「高根沢町食育・地産地消推進委員会」が設けられていて、今回はその取り組みの一環として音羽さんが招かれたものです。
とちぎテレビ「とちテレNEWS」より
今回は高根沢町で取り組む食育、地産地消についての取り組みをご紹介してみたいと思います。
高根沢町が育む「心のこもった食育」のかたち
高根沢町には、“ハートごはん条例”という少しユニークな条例があるのをご存知ですか?
「高根沢町ハートごはん条例」とは
「ハートごはんって、なに?」と思う方も多いかもしれません。
これは、町が「まごころ(ハート)を込めて育てた農産物を、愛情(ハート)を込めて料理し、感謝の気持ち(ハート)をもっていただくことを大切にして、町の食文化を伝え育んでいくこと」と町民の責任として制定した条例で、平成19年(2007年)に制定されました。
2025年3月給食センター発行の「食育だより」より食育や地産地消に関する条例などは各地にあるようですが、「ハートごはん」というフレーズで条例を制定しているのは、全国でも高根沢町だけというユニークな条例です。
私も学校で配布されている「給食だより」などで目にしていたので、ついついどの自治体にもある名称だと思っていましたが、高根沢町独自の名称なのだとか!
先日、11月5日に小中学校で実施された「お弁当の日」もこの取り組みの一環だったりします。
おいしいごはんが食べられる高根沢の給食
この町に暮らしていると、地元の農産物がとても身近に感じられますよね。
周り一面に広がるのどかな田園風景、直売所では朝採れの野菜がずらりと並び、学校給食にも地元の食材が多く使われています。
令和5年度の実績では、学校給食の町内農産物(野菜)利用は、58.7%だそうで、その比率の多くを占めるのが高根沢産の「米」。
現在は地元産の「コシヒカリ」と「とちぎの星」が月ごとに交互に給食に使用され、10月中旬から新米が使われているそうです。

昨今の米不足で身に染みましたが、地元のお米が食べられるって実はとてもすごいことなんですよね。
主食の米が地元産なんて✨ 地元の農家さんに感謝しなくては。
実際にいただいた給食は、とってもおいしかったです。
先生も一緒にエプロンをして配膳に協力し、残ったおかずなどを積極的にお替わりしている子もいるのが印象的でした。
そんな、高根沢の“食の豊かさ”を次の世代につなげたい――そんな思いから生まれたのが、このハートごはん条例なんですね。
実は私も、昨年から「高根沢町食育・地産地消推進委員会」の委員を務めています。
会議では、生産者である農家さんをはじめ、食育関係者、商工業者(←私はここ)など、さまざまな立場の方々が一緒になって「どうすれば町の食育をもっと広げられるか」などを話し合っています。
食育というと、なんだか難しそうに聞こえますが、根っこにあるのはとてもシンプル。
「食で健康!」
「食を感じる!」
「食を知る!」
「食財(地元農産物)に感謝!」
「地元農産物を知る!」
という5つの柱です。
条例の中には、「家庭・学校・地域が協力して食育を進める」「地元の農産物を生かした地産地消を推進する」「食を通して人と人とのつながりを深める」などといった内容が書かれています。
行政の文書なのに、どこかあたたかい言葉が並んでいるんです。
なかでも私にグサっと心に響いたのが、「子どもたちへの食育を中心としながら、更に大人自身の食生活も見直せることを期待したものとなっています。」という一文。
子どもたちの健康を守るだけでなく、大人も一緒に考え、日々の食生活を見直せる――そんな視点が盛り込まれているのだなと感じました。
そして何より印象的だったのが、給食センターの皆さんの熱い想いです。
「子どもたちに安全でおいしい給食を届けたい」
「地元の食材の良さを伝えたい」
そんな想いが日々の調理や献立づくりにしっかり込められていました。
「しもつかれ」をどう子どもたちへ提供したらいいか、という議題も音羽さんも含め、活発な議論がされていました。
私自身も、昨年から食育・地産地消推進委員会の一員として関わるようになり、あらためて“食”が人と人をつなぐ力を感じています。
この条例をきっかけに、もっと多くの町民の方に「食育」や「地産地消」の取り組みを知ってもらえたら――ということで、「たかマガ」で紹介してみました。
そして、町全体で“心を育てるごはん=ハートごはん”の輪が広がっていくことを願っています。
○高根沢町ハートごはん条例にもとづく高根沢町食育、地産地消推進行動計画【R7~R11素案】
(町ホームページ)







