5月に見頃になる初夏の花「あやめ」。
高根沢町の「町のシンボル」として、町花にも指定されている花です。
高根沢町のホームページによると、
町花 あやめ
古くから田園に群生し、情緒豊かな花で庭園の花としても広く親しまれ、根が強いことから町の安定と発展を意味する。
という理由で、選定されているものの、「ここぞ名所!」という有名なスポットが答えられるかというと、分からない・・。ネットで調べても名所などは出てきません。
ふと、どこに咲いているのか調べてみたくなり、今回の探訪となりました。
東高谷のアヤメロードに行ってみた
まず最初にパッと思い浮かんだのが、私の近所にある東高谷地区(高根沢町平田)にある「アヤメロード」でした。
私が小学生の頃(平成初頭の頃)、ここで「あやめ祭り」というお祭りが行われており、模擬店やイベントをやったり、今はなくなってしまいましたが、この辺にあった釣り堀で魚のつかみどりなどをやったりした思い出があります。
そしてこの通り沿いに、あやめが植栽されていたような・・。
・・うろうろしてみましたが、あったのはこの看板のみ。^^;
うっすらと「アヤメロード」という名称が残っているものの、あやめの姿はもうありませんでした。
高根沢町民広場のあやめ園に行ってみた
次に向かったのは、高根沢町民広場。
ここのトレーニングセンター(体育館)の裏手に池があり、そこが「あやめ園」になっていた記憶があったのです。
しかし、昨年新調された案内板には、「あやめ園」の文字はなし・・。
以前、撮影した写真をひっぱり出したら、案内板にたしかに「あやめ園」の文字がありました。
とりあえず、あやめ園だった池を見に行ってみると、それっぽい花が咲いていました。
・・黄色いけど、これはあやめなのかな??
(なんとなく「あやめ=紫色」のイメージ)
帰宅後に調べてみると、この花はおそらく「キショウブ」というアヤメ科アヤメ属ではありますが、しょうぶの仲間のようでした。
しょうぶ? あやめ? そもそもの違いはなんなのでしょうか・・?
そもそも「あやめ」と「しょうぶ」の違いとは?
「あやめ」と「しょうぶ」って良く似ていますよね。
漢字で書くと、どちらも「菖蒲」になるのです。
同じなの? 別ものなの? ということで、調べて見ると、見分け方があることが分かりました。
一番大きな特徴は、花びらを見ると分かるようです。
花びらの元の部分に網目状の模様があるのが「あやめ」、
花びらの元の部分が黄色くなっているのが「しょうぶ(花菖蒲)」、
ついでに、花びらの元の部分に白い筋があるのが「かきつばた(杜若)」
だそうです。
そもそも「あやめ」の語源は、網目模様の「文目(あやめ)」が由来なんだとか。
また、生息地にも違いがあるらしく、
陸地に咲くのが「あやめ」、
水辺(湿地)に咲くのが「しょうぶ」、
水の中に咲くのが「かきつばた」
ということでした。
へ〜、形が似てるけど、微妙に違うんですね。ちょっと勉強になりました。
町民広場のキショウブは、水の中〜水辺に咲いていたので、厳密には「あやめ」ではないのかもしれません。
しかし、古来から「菖蒲」と表記されてきたため、「しょうぶ」も「あやめ」も混用、あるいは総称として、一般的には使用されているようです。
ここまで調べてしまうと、俄然「あやめ」が見たくなってきましたね。
栗ヶ島にあやめ群生地があったらしい?
「高根沢町にあやめの名所ってあるのか?」と親に聞いてみることに。
すると、新たな手がかりを入手しました。私が小さい頃ぐらいまでは、栗ヶ島地区あたりに、あやめの群生地があったらしいのです。「当時はすごく人が見に来ていた」というのです。
・・なにそれ、聞いたことない。
「わたなべさんといったかな。その辺りであやめを作って育てていたけど、もう辞めてしまったので、そこは今、田んぼになってしまってて何もないよ」と言うことでした。
私が小さい頃・・というと、30年ぐらい前。
その頃の地図になら、もしかして載っているかもしれない?
ということで、私が小学校の頃に校庭に埋めた「タイムカプセル」の中に入っていた、高根沢町の観光ガイドマップのことを思い出しました。
記念に写真に撮らせてもらい、残しておいたのがこれです。
やばーーー、
レトロ〜!!
これが当時の高根沢町の観光ガイドマップの中身です。
今読んでみると、なかなか新鮮です。
まだキリンビールがある、懐かしい〜。元気あっぷむらはまだありません。
そして中面に、こんな文章を発見しました。
夏風に吹かれて アヤメ咲き誇る
白、黄、紫、色とりどりのアヤメが何万株と咲き誇っています。シーズン中は観光客で賑い、株を買って帰る人も多数。
親に聞いた話と場所が一致しました。場所も北高根沢中学校の南側あたり、栗ヶ島地区辺りにあやめの名所があったようです。
ということで、早速、栗ヶ島に行ってみました。
が、言われていたとおり、そこにもう群生地の姿はありませんでした。
なにか面影でも?・・と思い、周辺をぐるぐるしてみると、田園沿いにあやめの株をいくつか見つけることはできました。
気にしてみると、田んぼや畑の一角に見つけられるあやめの花。
お庭で育てているご家庭もありました。
そもそも、アヤメ科の花というのは、おなじ場所で長年つくり続けると、次第に出来が悪くなる「連作障害」を起こしやすい傾向がある植物なんだそうです。
管理がちょっと大変な花ということもあり、姿を消してしまった可能性もありますね。
ただ、30年前頃までは、この辺りに観光客も来るような、あやめの名所があったことは確かでした。
高根沢町のシンボルになぜ「あやめ」が選ばれたのか
現在は姿を消しつつある、あやめ———
高根沢町のシンボルが選ばれた頃は、さぞかしあやめもいっぱい咲いていたに違いない!
ということで、町のシンボル「町花 あやめ」「町木 いちょう」「町鳥 ひばり」が制定された年を調べて見ると、今から45年前の昭和52年ということが分かりました。
その頃の資料を探すために、高根沢町図書館の郷土資料コーナーへ。すると、当時の「広報たかねざわ」に、新たな情報を見つけることができました。
昭和52年11月号の「広報たかねざわ」に、一般公募した「町花・町木・町鳥名」の結果が掲載されていました。
582点の応募があったという、その町花の選定理由は、
あやめ
・田のあぜや用水路(堀)に群生し、黄色い花は田園の自然美を誇る町の象徴である。
・水田と調和して美しい、野辺の花である。
・故郷の思い出がしのばれる花である。
・米どころ、高根沢のたんぼをかざる花。
とのこと。
・・黄色い花!
まさに町民広場のあやめ園は、町民のイメージする黄色いあやめだったのですね(厳密にはキショウブだけど)。
さらに、昭和63年の「広報たかねざわ」には、こんな記載も発見しました。
町制三十周年記念
〝アヤメロード〟建設事業着々と進行
町制三十周年記念事業の一つとして、地域のみなさんのご協力を得て計画されていた「アヤメロード建設事業」が、いま、着々と進行中です。
この事業は、町花アヤメ(花ショウブ)を地域で選定した道路等の路肩を利用して植栽し、町花に親しむとともに地域環境の整備を図ることを目的に実施されたもので、五月の日曜日等を利用して、各公民館のみなさんの手で、植えられています。
今年植えた株の花を見ることはちょっと難しいかもしれませんが、〝町花アヤメ〟に彩られた道を歩く!!来年は、こんな楽しみが増えました。
アヤメロード!!
まさに東高谷アヤメロードはこの事業の一環で作られたものでは〜。
(ここのあやめはもうないのだが・・^^;)
そして「町花アヤメ(花ショウブ)」と書いてある。
つまり、高根沢町の花は「あやめ」でも「しょうぶ」でも可・・のようである。^^;
翌年の「広報たかねざわ」を見ると、「アヤメロード審査会」なるものも開催されており、それによると、町内各地にあるアヤメロードは35ヶ所(!!)だとか。
当時の町内にはそんなにたくさんの〝アヤメロード〟が存在したのですね。
(ちなみに当時の最優秀賞は「上高中部公民館」でした。)
町内に35ヶ所あったという、アヤメロード。おそらく各地区の公民館周辺の路肩に存在すると予想できますが、一体どれだけ現存しているのか・・。
まただいぶマニアックな探訪ネタが新たに発見できました。
【あやめスポット募集】あなたの知っているあやめスポットを教えてください。
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