10月28日に高根沢町の仁井田駅前にある仁井田集会所で「こどもたちの十三夜(ぼうじぼ作りとお宿めぐり)」が行われました。
「ぼうじぼ」とは、栃木県の県北〜塩谷地区、県央、県西あたりの農村に古くから伝わる秋の行事です。
豊作を祈り、作物に害を与えるモグラや害虫を追い払い、収穫への感謝と翌年の五穀豊穣を願うために、十五夜と十三夜の夜に行われる年中行事。
・・なのですが、私(40代)は実は今回が初体験でした。^^;
親に聞いてみると、小さい頃にやった思い出があるようですが、農家の減少や核家族化などで、どうやら昭和後半〜平成時代頃にはこの辺りでは廃れていってしまった文化らしい。
なんとなく、秋に「ぼうじぼ」というわらの棒をたたいて豊作を願い、家を巡ってお菓子をもらう という風習があるのは聞いて知ってはいましたが、きちんとお作法を知ったのは今回が初めてでした。
子どもたちが家をめぐって、お菓子をもらうという点では「ハロウィン」にも似ている栃木のユニークな伝統行事。
「ぼうじぼ」は、十五夜と十三夜、2回あるってことも始めて知りました。
あと仮装はしない^^
お供えは十五夜がススキ5本、十三夜がススキ3本、
お団子の数も十五夜が団子15コ、十三夜が団子13コなんだって!
柿や梨などの果物、里芋、大根、さつまいもなどの収穫物と、赤飯やけんちん汁、季節の草花を供え、収穫に感謝します。
今回は地元、仁井田シニアクラブの皆さんのご協力のもと、NPO法人次世代たかねざわの主催で行われました。
行事の重要アイテム「ぼうじぼ」は、県内によって「わらでっぽう」「ホウネンボウ(豊年棒)」いろいろ呼び方があるようですが、この辺りでは「ぼうじぼ」という呼び方です。
「ぼうじぼ」は稲が出る前の稲わらを青刈りして、乾燥したものを使い作ります。
今回は事前に下準備された稲わらを各自に配布していただき、ぼうじぼを作りました。
これの稲わらを束ね、取っ手となる部分を“なう”(一本により合わせる)のですが、これがまた難しい。
実演後、見よう見まねでやってみてたけど、なかなか難しい・・
地元のエキスパートに手伝っていただくと、あっという間に完成!
ひねりを加えながら1本1本のわらが2本に、そしてまた2本が1本の縄になっていくという熟練の技を見てていただきました。
す、すごい・・! 職人技です。
同じ要領で、年末は注連縄も作るらしいです。
わら切りで、先っぽをきれいに揃えて「ぼうじぼ」の出来上がりです。
「ぼうじぼ」でお宿まわり
今回はお宿めぐりも体験しました。
まずは仁井田駅前で練習。
ぼうじぼを地面にたたきつけ、「ぼうじぼあたれ、三角畑にソバあたれ」を3回唱えます。
「あたれ」とは「豊作になれ」で、「三角畑にソバあたれ」は、「土地の狭い畑でもソバがいっぱい実れ」という意味らしいです。この歌も地域によっていろいろ違いがあるみたいです。
やり方を教わったら、ぼうじぼを持って「お宿まわり」。
仁井田駅前の近くのお宅を3軒巡らせていただきました。
庭先でぼうじぼを打たせていてだき、
「ぼうじぼあたれ、三角畑にソバあたれ」の声が響きます。
最後の3軒目にもなると、慣れてきて「バチンバチン」と激しく地面をぼうじぼ打ち^^
子どもたちはお菓子をいっぱいいただき、ご満悦でした。
ぼうじぼ作りに加え、なかなか体験できなかった「お宿まわり」も体験でき、いい思い出になりました。
大切に守っていきたい伝統行事ですね。
地域の皆さまのご協力に感謝です。ありがとうございました。
○仁井田集会所(JR仁井田駅前)
栃木県塩谷郡高根沢町文挾27−7