高根沢町に「アイリブとちぎ」という知的・精神障がい者が対象のグループホームがあります。
今回このホームの見学会があるというので参加してきました。
で、このグループホームを立ち上げたのが、最初の写真に写っている代表の河合さん(写真一番右、ちなみに一番左のメガネがひばら)です。
河合さんと私の出会いは、6年前。
高根沢町で子育て情報を発信する「超ローカル地域情報シェアサイト MaiMachi(マイマチ)」というサイトを運営している河合さんに、お仕事で子育て関連施設の取材協力をお願いしたのがきっかけでつながりました。
そのとき河合さんはまだ東京の会社にお勤め(なんと劇団四季)で、2人の小さな子を育児をしながら、高根沢町から東京に電車&新幹線通勤しているという話を聞いて、
「この人スゴイな!」
と思ったものです。
たまにばったり町内で会う程度でしたが、Facebookではつながっていたので、なんとなく動向は把握しておりました。
ある時、河合さんが宇大の大学院に社会人入学し、新しく福祉の仕事で高根沢町で起業したというのを目にし、「なんだこの人のバイタリティは・・!? やっぱスゴイなっ!」と驚きました。
それが、2018年の話。
スタートから毎月のように見学会を開催されており、いつかは参加してどんな内容なのか見に行こうと思いつつ、ちょうど私が2人目の出産・育児のタイミングで、時間が過ぎてしまい、さらには新型コロナの影響もあり、見学会自体が開催がなくなってしまって、時間だけが過ぎていきました。
・・で、2021年。
「キラリと光るとちぎの企業表彰」に河合さんの会社が選ばれ、県から表彰されたという。(やっぱりスゴイ人だ)
いまだコロナ禍ではありますが、見学会が再開していると聞き、やっと河合さんに再び会いにいくことができたわけです。
そんなわけで、私の中では「なんかスゴイ人」の河合さん。
久々に会うのを楽しみにしておりました。
前置きが長くなりましたが、見学会当日。
参加者の挨拶もそこそこに、
「今日は特別に内見でーす!」と町内の不動産巡りがスタート。
渡されたパンフレットをみながら、説明を受ける。
アイリブとちぎさんの事業は知的・精神障がい者が対象のグループホーム。
病院や入所施設で長く生活している人たちや、
今まで家族の支援を受けて生活してきた人、お子さん(18歳以上)などを受け入れ、
「自分で暮らす」ことをサポートする生活援助付きの住居を管理・運営しています。
そうこうしているうちに1軒目のお家に到着しました。
最初は女性棟のお家を訪問。
おウチ? そう、「おウチ」だったのです。
アイリブとちぎさんのグループホームは、
町内にある空き家の賃貸物件をリノベーションして、
「シェアハウス」として利用者を受け入れているのです。
だから見た目はどこも「普通の一軒家」。
「ここはグループホームです」とか「福祉施設」とかいう看板もなし。
それが大きな特徴なんだということを、1軒目にして思い知らされました。
河合さん曰く「たぶんこんな形式は全国でも希」だと。
グループホームは男女別で、
アティーナ、アラーナ、アクアータ、アリスタが女性棟、
ドックが男性棟で、現在は町内に全部で5か所あります。
ちなみにこの建物の名称、
女性棟は「リトルマーメイド」の主人公・アリエルの6人いるお姉さんの名前、
男性棟は「白雪姫」に出てくる7人のこびとの名前から取っているらしいです。
さすが元・劇団四季にお勤めだった河合さんならではのネーミングセンスだ^^
1階のリビング・キッチンは共有部分。
みんなで料理を作ったり、テーブルに座ってご飯を食べたり、
各個人のスケジュール管理や健康管理、薬の管理もこちらでやっています。
リビングにあったベッドは、スタッフ(「世話人さん」と呼ぶ)の方のもので、
ここにスタッフが各棟1人在駐し、日中と夜間のサポートを行います。
ずっと住み込みは大変だなーと思ったけど、
1棟あたり週2、3人の交代制でシフトを組んでサポートしているそうです。
ひきつづきキッチン。
収納はこんな感じで、分かりやすいように整理整頓されてます。
生活感が漂ってますね〜。
見てください、キッチンシンク下収納もこんなに大容量♪(営業の人か)
パッと見はシェアハウスとは分からない感じ。
まあ、もともとは一軒家だった物件なのだから、なおさら使い勝手は「普通の家」と変わらないですね。
共有部分のお風呂・洗濯機とトイレは、共同生活っぽさが伺えますね。
もともとは普通の家なので、
ふすまとかドアで間取り的につながってた部屋はリノベーションし、
各1部屋ずつにセパレーション。
このようにドアをふさいだ後などもある↑
ここで入居者の方が最大4人で生活しているわけです。
おもしろ〜!
空き部屋もあったので、どんな感じか見せていただけました。
こちらが個室。
部屋は洋室もあれば、和室もありました。
広さは普通の部屋のサイズかな。
“施設感”も何もないフツーの空き部屋です。^^;
これでだいたい家賃が1人あたり月7万ぐらいだそうです。
しかも光熱費と朝・夕の食事付き込み。
男性棟のドック(先生)にも訪問させていただきました。
さながら不動産屋さんのように、物件案内する代表の河合さん(笑)。
ほんと、オープンハウスだ。
ちなみに共有部分の家具や家電、調理器具などは
寄付やリサイクル品を活用し倒したりして(笑)、まかなっているらしいです。
(絶賛ゆる募中!とのこと^^;)
アイリブさんの所有するグループホームは、
どこも築20〜30年ぐらいの一戸建て。
その多くは宝積寺エリア、宝石台、光陽台エリア界隈の住宅街に存在しています。
妊娠・出産を期に高根沢町に引っ越してきた河合さん。
産休・育休中に、赤ちゃんと家の周辺を散歩で歩きまわり、
「ここ空き家だな〜、あ、ここも。もったいないなぁ〜」と
めぼしい物件をくまなく巡っていたそうな。^^;
学生時代に河合さんはシェアハウスに住んでいた経験もあり、
シェアハウスを自分でやってみたいなという夢が昔からあったそうな。
会社運営のことや地域の需要も考えた結果、
町内に今までなかった知的・精神障がい者を対象としたグループホームとして
空き家を使ったシェアハウスを高根沢町でスタートすることになりました。
なので、順序的には
空き家の存在→利用目的を考えた結果→シェアハウス
なんですね。
私はてっきり逆なのかと・・^^;
なにかのきっかけで福祉に目覚め、場所を探していた結果、たどり着いた形がグループホームなのかと思っていました。
ちなみに、事業をスタートするまでは福祉の知識もなかっという河合さん^^;
やっぱり「なんかスゴイ人」だ。
もともと「マイマチ」という子育て情報をサイトで発信しようとしたのも、産休・育児で働きに出られない自分や周りの育児中のママさんたちの能力の活用&掘り起こしのために始めたものだという。
そしてこの「アイリブとちぎ」の事業も「子育ての延長」と言ってました。
「一生この子を家族でお世話しないといけない」と思い悩んでいる障がいの持つお子さんの親御さんにも、新しい選択肢が増えればいいなという想いもあるそう。
「子育て卒業」という目標が見えれば、育児も仕事もがんばれるでしょ、と。
こういう想いはワーママ(ワーキングマザー)ならではの発想かもなぁ。
でもその中で、バリバリ働く河合さん(←昨年3人目ご出産)も激しくスゴイんだけど(笑)。
共同生活の中では、親御さんの介助がないとトイレで排泄ができなかった方が、初めて見学したその日に一人でちゃんと出来たり、親と一緒にしか入浴したことなかった利用者さんが、入居3日で一人でシャンプーまで出来るようになったり・・と、いろいろと良い変化がたくさん起こっているそうです。
さらには、迷子になった利用者さんにたんたん号(町のデマンド交通)を呼んで、家まで送り届けてくれたりと、町の方の見守り協力がコミニティの中でも広がりつつあるとのこと。
いろいろお話をしている時に出てきた言葉で、
「施設施設してない福祉」っていうワードが、まさにその通りだなと思いました。
「福祉」って聞くと、「福祉施設」とかそういう枠に入れて、
そういう場所だけでしかしない、出来ないって決めつけてしまいがちだけど、
アイリブとちぎさんはそういう枠組みにとらわれず、ニュータイプの福祉のカタチでやってる感じがしました。
なにより、やっていることが新しくて、楽しそうだ。
このコミュニティが、着々と高根沢町内で形成されていることに驚き、
さらに各地に拡大していくと、もしかしてすごい革新的なことが起きるんじゃないかと思ったりした、今回の見学会でありました。
ご案内いただいた、代表の河合さんありがとうございました。
(あと当日、お誕生日おめでとうございました。^^)
アイリブとちぎさんの見学会は毎月開催中です。
○Living Artist LLC. (アイリブとちぎ)
栃木県塩谷郡高根沢町宝石台2-1-1
公式サイト